めまい
体のバランスをとるためには 耳にある三半規管により頭の位置情報を、皮膚からは知覚情報を、目からの視覚情報をえて、脳から眼球運動や姿勢、運動機能にたえず指令をだすことにより体のバランスを保っています。この耳、目、知覚、脳のネットワークのどこに異常があってもめまいを感じます。中枢性めまい、耳性めまい、頚性めまい、起立性調節障害、心因性めまい、加齢性めまいなどめまいをおこす疾患はさまざまです。
めまい患者で最も多いのが“耳からくるめまい”です。めまいの診断にあたり、まずは一刻を争う脳血管障害による危険なめまいでないかをチェックすることが肝要です。めまい発作時には異常な眼球運動がみられるのでそれをCCDカメラで観察し、聴力検査や脳神経チェックを行いめまいの原因診断をします
耳からくるめまいは 1)良性発作性頭位めまい症 2)メニエル病 3)前庭神経炎 などがあります。
良性発作性頭位めまい症 は頭位を変えるときに急におこる数十秒以内のめまいで耳症状はなく何度も同じ動きをするとめまいが減衰するめまいです。もともと前庭という頭の位置情報を感知する役目をしていた耳石がはがれて三半規管内に滑り落ちて三半規管の感覚神経を刺激しめまいをおこすのが原因と考えられます。耳石が三半規管のどこに存在するのかを異常眼球運動を観察して診断し、石を排出するべく理学療法を行います。めまい予防のために頭を積極的に動かしリンパの流れを良くすることをお勧めしています
2)メニエル病はめまいと同時に難聴や耳鳴りや耳閉感を伴うめまいで10分から数時間持続するのが特徴です。名古屋大学名誉教授の中島務先生らが世界に先駆けてM内耳のリンパ水腫をMRI検査で確認されました。几帳面で完全主義の性格の方に多くみられ、精神的、肉体的、介護、コロナ、睡眠不足などストレスが誘因となります。発作がおさまれば症状も消失しますが、発作が反復するうちに聴力が悪化し重症化していきます。発作時は安静、鎮暈、鎮吐、メイロン注射、血流改善や利尿剤などの薬物治療を行います。誘因となるストレス管理も必要と思います。重症例には中耳加圧療法も行っています。
3)前庭神経炎は突発的な回転性めまいで発症します。聴覚障害はなく、半規管の機能低下を認め、異常眼振が持続します。小脳や脳幹などの中枢性めまいが原因のこともありますので早期に連携病院でMRIなどの精査を依頼します